「色にや恋ひむ ひひらぎ草紙」を紹介したいと思います。
草紙シリーズは平安時代の後宮を舞台にしたラブストーリーです。
2巻まで発売されていますが、1巻ごとに主人公が変わる読み切りなので、1巻だけ読んでも楽しめます。
2巻の「色にや恋ひむ ひひらぎ草紙」は、妹に許嫁を奪われて、宮中に出仕しているしっかり者のヒロインとヒロインを一途に愛する寡黙なヒーローのラブストーリーです。
「色にや恋ひむ ひひらぎ草紙」は、こんな方にオススメします。
- 平安時代のお話が好きな方
- 寡黙なヒーローが好きな方
- しっかり者のヒロインが好きな方
「色にや恋ひむ ひひらぎ草紙
」
本の情報
著者 深山くのえ
イラスト アオジマイコ
ジャンル ライトノベル/恋愛・ロマンス
出版社 小学館
発売日 2020年9月13日
草紙シリーズ 2巻まで発売中
著者のプロフィール
深山くのえ
神奈川県出身。2005年、『花色の戯れ』でデビュー。著書に『恋をし恋ひば かんなり草紙』のほか、「舞姫恋風伝」「桜嵐恋絵巻」「乙女なでしこ恋手帖 」「六男坊と陰陽師」「隠れ姫いろがたり」などのシリーズがある。
引用元:「色にや恋ひむ ひひらぎ草紙」の巻末に掲載されているプロフィール。
あらすじ
妹に婚約者を奪われ、母親に勧められるまま後宮で働くことになった淑子。真面目な性格ゆえ、愛嬌がなくて刺々しい『柊の典侍』と呼ばれたり、同僚に煙たがられたりしながらも、常に祈然とした態度の淑子は、女同士の争いが絶えない後宮で、揉めごと解決に頼れる存在となっていく。そんなある日、初めて顔を合わせた新任の蔵人、源誠明から求婚された淑子。彼は東宮の嫡子でありながら臣籍降下した、いわく付きの人物。突然の求婚に戸惑いながらも、心をざわつかせる淑子だが…。後宮を舞台に、複雑に絡みあう恋を描く、深山くのえの平安恋絵巻!
引用元:
登場人物
橘淑子
橘典侍。父は橘中納言。
実の妹に許嫁を奪われ、心休まらない家にいるよりはと、母の伝手で典侍として宮中に出仕して5年。
後宮では、愛嬌がなく、言葉がきつく、柊の葉のようだという意味で、「柊の典侍」というあだ名を付けられていました。
女房たちからは疎まれ、下の者たちからは揉めごとの止め役を期待されるように。
正義感が強く、しっかりした、美しい女性です。
源誠明
源蔵人。東宮の嫡子。帝の従兄弟。
元服のさいに臣籍降下しましたが、父が暫定の東宮ということで、利用されないように慎重に行動してきました。
生真面目で寡黙な性格から、面白味のない堅物と言われています。
毅然としていて、目下の者にも優しい淑子に、秘かに想いを寄せていました。
おすすめポイント
誠明に求婚されたしっかり者の淑子は、口下手な誠明のことをよく知ろうと交流を重ね、誠明と少しずつ距離を縮めていきます。
淑子が誠明への恋を自覚するまでの心情の変化や誠明の淑子への想いが丁寧に書かれています。
終盤に淑子が誠明を守ろうと奮闘する姿は、しっかり者の淑子らしいです。
東宮争いの方は、1巻では静かな争いでしたが、2巻では派手な三つ巴の争いに進化していて、正義感の強い淑子が女房たちの争いに巻き込まれています。
誠明と淑子の恋愛模様だけでなく、後宮での人間模様も楽しめます。
軽率なわりに出世欲が強い淑子の父、橘中納言、うっとうしい元許嫁の藤原豊隆、仕事を押し付ける宰相典侍、如才のない女孺、夏実などの登場人物たちも面白いです。
印象に残った場面
その表情は、何と言えばいいのかー祈り、あきらめ、慈しみ、哀しみ、それらのどれとも思えるような、しかし、どれにあてはまるのかは皆目わからない、そんな面持ちだった。
淑子が誠明と御簾越しにはっきりと目があった場面での誠明の様子。
深山くのえさんの著書
「隠れ姫いろがたり -紅紅葉-」
「身代わり歌姫の憂鬱」
「王と妃」
などがあります。