中華後宮ファンタジー「後宮の花」を紹介したいと思います。
主人公は、大陸西部の大国、相国の下級官吏の陶蓮珠。『遠慮が無い・色気が無い・可愛げが無い』の三無い女官吏と言われていました。
ある日、皇帝と皇后になる予定の威国公主が共に失踪したことから、蓮珠は皇帝の双子の弟・郭翔央と身代わりの夫婦生活を始めることに……。
現在12巻まで発売されています。
※若干ネタバレしていますので、気になる方はご注意下さい。
「後宮の花」の詳細情報
著者 天城智尋
ジャンル ライトノベル/一般
出版社 双葉社
発売日 2019年2月14日
著者のプロフィール
天城智尋⚫あまぎちひろ
東京都出身。作家集団「インクブルー」所属。本作にてデビュー。マスク標準装備のアレルギー体質。でも、電車内で本を読んでニヤニヤしていても周りにバレないのでありがたい。よろしくお願いします。(二〇一九年二月現在)
引用元∶「後宮の花は偽りをまとう」巻末の著者プロフィール。
あらすじ
契約結婚の“秘密”が暴かれれば、この国は再び戦禍に巻き込まれる――大陸西方の大国「相(そう)」。色んな部署を渡り歩いて勤続十年、『遠慮がない・色気がない・可愛げがない』で知られる三十路手前の女官吏・陶蓮珠(とうれんじゅ)。相国内で隣国「威(い)」の言葉がわかる数少ない官吏だった蓮珠は、ある日、武官姿の男に声を掛けられる。威語がわかる独身女性を探していた彼は、蓮珠を嫁にほしいと言い出す。冗談だと思った蓮珠は適当に返事をするが、男は「やっとみつけた理想的な相手だ。こちらの準備を整えたら迎えに行く」と真剣な表情。彼の名は郭翔央(かくしょうおう)。威国の公主を娶(めと)ることを条件に、帝位に就いた新皇帝の双子の弟だった。新皇帝と威国の公主が姿をくらましたために、蓮珠に公主の身代わりになれというのだが――。ページをめくる手がとまらない、圧倒的中華後宮ファンタジー!!
引用元:
登場人物
陶蓮珠
相国の下級官吏。
戦争で両親を亡くし戦争孤児として育ちながらも、必死で勉強を重ねて科挙に受かり、中央官庁に勤めて約十年が経ちました。
『遠慮が無い・色気が無い・可愛げが無い』の三無い女官吏と言われ、どんな仕事もそれなりにこなせるため同僚の男性陣に煙たがれています。
上司であろうとも間違いを正す、強気な性格の仕事人間です。厄介ごとを呼び込む体質と言われています。
9歳年下の妹の翠玉は皇帝の代筆係です。
郭翔央
相国の第四皇子。禁軍の武官。
凛々しい顔立ちの、忘れがたい容貌の持ち主です。双子の兄である皇帝・叡明とは瓜二つですが、気質は似ていません。叡明からは溺愛されています。
周囲の評価を気にしない所があり、自己評価が低いです。
おすすめポイント
下級官吏の蓮珠は、ある日、威国語を話せる女性を探していた凛々しい顔立ちの武官から突然の求婚を受けます。最初はタチの悪い冗談だと受け止めていましたが、やがてその武官の正体が皇帝の双子の弟、翔央だと知ることになります。
翔央は「陶蓮珠、お前には俺の妻になり、威国公主の身代わりをしてもらう」と告げます。実は、皇帝が威国公主と一緒に行方をくらませてしまったため、翔央は条件を満たす蓮珠を威国公主の身代わりにする計画を立てていたのでした。
蓮珠はある事情から出世にこだわっていました。翔央から身代わりの報酬として中央上級職への推挙を約束され、その役目を引き受けることにします。
こうして蓮珠は、いずれ皇后になることが約束されている威国公主の身代わりとして後宮に入り、女同士の争いや権力を巡る熾烈な争いに巻き込まれていきます。そして、偽りの夫婦となった翔央との間には特別な感情が芽生えていきます。やがて、本物の皇帝・叡明と威国公主が戻り、蓮珠は無事に役目を終え、ついに上級官吏となります。
しかし、蓮珠の元にはその後も次々とトラブルが舞い込んできます。蓮珠の無鉄砲な性格や厄介事を呼び込む体質のせいか、命を狙われたり、濡れ衣を着せられたりとスリリングな展開が繰り広げられます。
自国のみならず、終いには他国の内部抗争や後継者問題にも巻き込まれ、その度に下級官吏時代に培った知識や経験、そして度胸の良さで乗り越えていきます。
さらに物語は、蓮珠姉妹の秘密や先帝と華国の王との因縁、皇帝・叡明の思惑など予想を裏切る展開になっています。そして何より、蓮珠と翔央の身分違いの恋の行方も気になるところです。
コミカライズ作品
最後に
今回は、「後宮の花」を紹介しました。
皇帝の弟・翔央と契約結婚した下級官吏の蓮珠が、権力争いに巻き込まれていく中華後宮ファンタジーでした。
身代わりをしている蓮珠の正体がバレれるのではないかとハラハラ、蓮珠に命の危機が迫る度にハラハラと、厄介事を呼び寄せる体質の蓮珠には何度もハラハラさせられます。そんな蓮珠ですが、仕事が好きで、正義感が強く、芯のある魅力的な主人公です。
長編ではありますが、登場人物が親しみやすく描かれていて、初めて中華ファンタジーに触れる方にもおすすめできる一冊です。ぜひ読んでみて下さい。